筆者、個人事業主を目指す
ブルーベリーの苗木をもっと心置きなく売りたい。
でも私は会社員。
二足のわらじ? いや、もうムカデ並みに履いてやる。
まずは会社の就業規則をペラペラ……さらにペラペラ……
副業についての項目が、ない。
ないのである。
まるで最初から存在しなかったかのように、立派にない。
このまま黙って苗木を売ってバレてクビになったら、家族が路頭に迷う。
それは困る。非常に困る。
なので私は伝家の宝刀を抜いた。
全て正直に話す。
上司を「ちょっと…」と呼び出して、正座する勢いで説明。
上司は人事に確認してくれた。
結果…
「暗黙の了解ということにせざるを得ない。そういう時代だから」
なんだその“哲学的ぼかし表現”は。
でも許可は許可。ありがたい。
私は心に誓った。
これまで通り、誰よりもしっかり仕事しますよ、と。
■ 開業届ファーストバトル:e-Taxの迷宮へダイブ
開業届をダウンロードし、パソコンで作成。
屋号は「植物名は入れない方がいいらしい」というネット情報に従う。
こういうときだけ素直。
そして始まる、e-Tax地獄巡り。
画面を開くと、
ログイン、ログイン、またログイン。
ID入力、パスワード入力、秘密の質問、マイナンバーカード、暗証番号、
「この端末を信頼しますか?」
「本当に信頼しますか?」
「本当に本当に信頼しますか?」
——信頼してるよ! もう信頼しかないよ!
はい?はじめから?
なんで!?ふぁっ!?
画面のボタンは小さく、文字は細かく、
押すたびに別のページへワープ。
まるでRPGのダンジョン。
しかも敵は全部“エラー”。
なんでそうなるの。
最終的に悟った。
紙で出した方が早い。
開業届を握りしめて税務署へ。
しかし
「お客様、開業前は受け取れません」
…
はい、撃沈。
静かに帰宅。 雪のため車がスベるスベる。
帰り道の風雪がやけに冷たい。
後日、開業日を迎えて再挑戦。
提出ボックスにそっと投函。
“投函しただけなのに達成感がある選手権”があれば優勝できる。
■ 県税事務所:アリンコのように震える
次は県税事務所へ。
入った瞬間、一斉に振り向く30人くらいの職員。
あなた方賢いでしょ。こんなとこで働くなら賢いに決まってる。
私はアリンコ。
巨大な建物の床をちょこちょこ歩くアリンコ。
職員さんは巨人。
机は山。
書類は岩。
しどろもどろに説明すると、担当の巨人が優しく言う。
「農業は基本非課税ですが、受理しますね」
その瞬間、アリンコの私、
心の中で小さくガッツポーズ。
(外には出さない。アリンコだから。)
逃げるように帰る。
あ、車の走行距離はメモってるよ。
経費経費。立派な経費。個人事業主だから!
■ インボイス:迷子の森へ再び
続いてインボイス登録。
またしてもe-Tax。
またしても迷子。
最終的に備考欄へ正直に書いた。
「個人事業主になったため提出します。間違っていたらごめんなさい」
もう誠意で押し切るスタイル。
送信ボタンを押した瞬間、なぜか勝者の気分。
■ 農林水産省:天使の国からの返信
苗木を売るには農林水産省への届出が必要と知る。
「まだあるのか」と思いつつ、書類を作ってメール送信。
数日後——
天使からメールが届いた。
受理印つきの書類が、光に包まれて返ってきた(ように見えた)。
優しい。
早い。
分かりやすい。
天使。
思わず「よっしゃ!」と声が出た。
(家族に驚かれた。)
■ そして最後に、静かなる不安と、静かなる覚悟
農林水産省は天使だったが、
開業届は——
昨年から「受理印を押しませんスタイル」になったらしい。
なんだその“スタンプレス時代”は。
受理されているのだろうか。
紙はどこへ行ったのだろうか。
私の開業届は今どこを旅しているのだろうか。
インボイスは?
なにか返答があるのかしら?
「登録されましたよ〜」みたいな通知が来るのかと思っていたが…
この記事を書いている今も、
なんの音沙汰もない。
でも、私は知っている。
出すものは出したら、もう個人事業主である。
そういう世界なのだ。
書類を出した瞬間、もう“なる”。
通知が来ようが来まいが、私はもう“なっている”。
だから言う。
やるで、やったる!
よい苗を、あなたに。
そう、そこの今これを読んでいるあなたに届けるために。
2026年1月たぶんきっと吉日。
その後の進展…
追記 インボイス申請から約3週間後、マイナポータルについに返事がありました!


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