しくじりの概要
私の園には、まれに近所の人が珍しがって遊びに来ることがある。ブルーベリーを見て「こんなに種類あるの?」と驚かれたり、「こんなに大きくなるの?」と感心されたりする。私は嬉しくなってしまい、ついつい話し込んでしまう。今思えば、この時すでに脳内のどこかで何かが壊れ始めていたのだと思う。
その日も、地植え、鉢植え、そしてコンテナ栽培のブルーベリーを案内していた。私は調子に乗って、コンテナの値段の話まで始めてしまった。「昔は398円だったんですよ。今は798円とかするんですよ。これは私の死んだじいちゃんからもらったやつなんですけどね」と、なぜか物価高の愚痴まで語ってしまった。ブルーベリーたちもきっと「園主さん、なんか今日テンション高くない?」と心の中でツッコミを入れていたに違いない。
そして数日後である。近所の人が息を切らしながら園にやってきた。手には赤、青、黄色のコンテナが…。総数20個ほど。しかも泥付き。果樹園名までしっかり印字されている。私はその光景を見た瞬間、脳がフリーズした。
「ほらこれ!果樹園やめた人からもらってきた!ブルーベリーに使えるべ!」
ありがたい。ありがたいんだけど……いや、ありがたいんだけど……。
うん、ありがた……いのかな?
あ、ありがたいんだけど……ね。
もしあの頃、コンテナ資材保護協会というものが存在していたら、私は間違いなく「善意の過剰供給を招いた男」として会報の黒歴史欄に載っていたと思う。
このしくじりがブルーベリーに及ぼした影響
コンテナが大量に増えるということは、ブルーベリーの生理に直接的には影響を及ぼさない。ただ、間接的にブルーベリーの管理の時間が削り取られるという事態に陥る。
大量のコンテナを庭の片隅に運ぶ時間、このコンテナどうしようと使用用途を探す時間、それらを考えるたび脳がフリーズしかけた。
さらに、コンテナにはもうひとつ弱点がある。数が増えすぎると、狭いナーセリーの土地の一部を占領してしまうのだ。ブルーベリー側からすれば「園主さん、コンテナが増えすぎて風通し悪くなってない?」という状況だっただろう。
泥付きのコンテナを洗う作業も地味に重労働で、根鉢の管理に割くはずだった時間が奪われていく。私は泥付きコンテナの山を前にしながら、「ブルーベリー先輩、すみませんでした」と心の中で謝罪した。
ではどうしたらよかったのか
そもそも、私はコンテナの値段の話を熱く語りすぎた。物価高の愚痴、じいちゃんのコンテナの思い出、昔は398円だったという話。そんな発想自体が間違いだった。近所の人の善意スイッチを全力で押してしまったのである。
本来なら「コンテナは便利ですが、数が増えると管理が大変なんですよ」と一言添えておくべきだった。あるいは、コンテナの話題を軽く流しておけば、20個近いコンテナ爆撃は無かったであろう。私はこの日、資材の話は慎重にすべきだと深く反省した。
結論
コンテナの話はほどほどにすべきである。この善意の大量のコンテナ爆撃には、事後の対処法は存在しない。初心者はコンテナの話題を軽く流すのが正解である。最後にひとつだけ言えることがある。いただいたコンテナは、いつか使われる日を夢見て、今も敷地の端で静かに眠っている。


コメント