しくじりの概要
秋遅くの話である。地植えしているブルーベリーの親木付近に繁殖した雑草を取っていた時のことだ。私の園は地面に針葉樹ウッドチップを敷き詰めており、防草効果が高い。そんな環境で生える雑草は限られており、スギナ、ドクダミ、そして今回の主役であるカタバミくらいである。
秋遅くに草を抜くと、その年はもう成長せず、翌春の雑草も相対的に減る。私は「今年こそ圃場に一本も雑草を残すまい」と意気込み、ウッドチップの上にしゃがみ込み、雑草狩りに没頭していた。ブルーベリーたちもきっと「いや、そんなに根絶やしにしなくても…」と心の中でツッコミを入れていたに違いない。
とあるカタバミを抜いた瞬間だった。淡いピンク色の根がタタタタタとウッドチップをかき分けて抜けてくる。これがとんでもなく気持ちいい。まるで地面の奥から“快感のスロット”が当たり続けているようで、私はその感触に完全に取り憑かれた。気づけば地面にかがみ込み、夢中になってカタバミを引き抜き続けていた。
その刹那──腰付近に強烈な電撃が走った。息が止まるほどの凄まじい痛みが襲いかかり、のた打ち回りたいのに痛すぎて動けない。魔女の一撃、ぎっくり腰発症の瞬間である。秋遅かったからまだ良かった。もし真夏だったら、水やりもできず、ブルーベリーも私も完全に終わっていた。
そして私は悟った。一番倒れてはいけない園主が倒れるという、ナーセリー史上最悪の危機的事態に陥ってしまったのである。カタバミ取りの快感に酔いしれた私は、自分の腰の限界を完全に見誤ったのである。
このしくじりがブルーベリーに及ぼした影響
ぎっくり腰そのものはブルーベリーの生理学に直接影響を与えない。しかし、園主が動けなくなるという事態は、ブルーベリーにとってはこれ以上ない立派な“環境ストレス”である。水やりのタイミングがずれ、落葉の処理が遅れ、親木の周囲の通気性確保が後回しになる。ブルーベリー側からすれば「いや、園主さん、腰やられてる場合じゃないんだけど。マジでふざけんなよ」という状況だっただろう。
特に秋遅くは根の活動が緩やかになり、スポンジ構造の維持が重要になる時期だ。落葉が溜まれば湿気がこもり、毛細管現象が乱れ、細根の呼吸が阻害される。腰痛で動けない数日間は、ブルーベリーにとっては地味にダメージが蓄積する期間でもある。
私は痛みに耐えながら横になりつつ、「ブルーベリー先輩、すみません…」と心の中で謝罪した。まさかカタバミの根のピンク色に魅了されて、腰を壊すとは思っていなかった。
ではどうしたらよかったのか
そもそも、ウッドチップの上で長時間かがみ込むという発想自体が間違いだった。カタバミの根がタタタタタと抜ける快感に酔ってしまい、腰への負荷を完全に無視していた。園芸は楽しいが、身体は有限である。私は「一本も残すまい」という完璧主義に囚われ、結果として自分の身体を犠牲にするという愚行を犯した。
本来なら、適度に立ち上がり、姿勢を変え、休憩を挟みながら作業すべきだった。あるいは、雑草取り用のハンドル付き除草具を使えば腰への負担は大幅に減ったはずだ。私はその後、雑草取りの前には必ず腰の状態を確認し、軽い準備体操をしてから臨むようになった。そう、もう若くないのだから。
結論
カタバミ取りは楽しいが、腰を壊してまでやるものではない。秋遅くの除草は効果的だが、園主が倒れればブルーベリーの管理が滞る。ぎっくり腰に対処法は存在せず、予防こそが正解である。最後にひとつだけ言えることがある。カタバミの根のピンク色のタタタタタには、絶対に魅了されてはいけない。
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