しくじりの概要
ナーセリーを始める少し前の話である。私は防草シートを買うことをためらっていた。理由は単純で、当時の私は「防草シートは高い!そんな文明の利器に頼らなくても、余っている構造用合板の切れっ端で十分だろう」と思い込んでいたからだ。今思えば、脳内で何かが壊れていたのだと思う。
その構造用合板は、自宅のリフォームで出た端材だった。私はそれを庭に敷き詰め、鉢を並べ、得意げにこう思っていた。「雑草ゼロ。水抜けも完璧。俺は天才かもしれない」。ブルーベリーたちもきっと「いや、なんか変なの敷いてるけど大丈夫?」と心の中でツッコミを入れていたに違いない。
そして思い返せば、合板をもらう時に私は意気揚々と大工さんへこう言っていた。「この合板が最高に役立つんですよ!」と。今の私なら、その時の自分をそのまま地元のごみ処理施設に送り届けたい気分である。
しかし、数ヶ月が経つと合板は湿気と劣化で徐々にボロボロになってきた。ある日、私は一枚を試しに引っぺ返してみた。次の瞬間、私は固まった。裏側が一面びっしりシロアリの巣窟になっていたのである。白いシロアリが数えられないほど群れ、合板は迷路状に食い荒らされ、まるでタイ米のチャーハンの如しだった。あの気持ち悪い光景は一生忘れられない。
私はゾッとしながら、敷いていた十数枚もの合板をすべて撤去した。泥、シロアリ、変なの、そんなの、こんなのまで付着しており、洗い落とす作業はまさに地獄だった。もしあの頃、建築資材保護協会に入っていたら、間違いなく除名処分だっただろう。
さらに地獄は続いた。シロアリまみれの構造用合板を車で処分場へ運ぶ時、後部にはビニルシートを敷き、逃亡防止のために厳重な封印まで施すという余計な手間まで発生した。車内にシロアリが歩き出したら人生が終わるので、私は半ば震えながら積み込んだ。文字どおり、何一つメリットがなかった。
洗い終えた合板は、適当に乾燥させた後、地元のごみ処理施設へと旅立っていった。幸い、苗木へのシロアリの影響は皆無であったが、私はこの日、防草シートの重要性を骨の髄まで理解した。防草シートはただの雑草対策ではない。地面からの湿気を遮断し、鉢底の通気性を守り、根鉢のスポンジ構造を壊さないための“根域保護装置”である。あの日のシロアリ地獄を経験した今なら言える。防草シートは贅沢品ではなく、ブルーベリー栽培の生命線そのものだ。
このしくじりがブルーベリーに及ぼした影響
構造用合板の下でシロアリが繁殖すると、鉢の環境は一気に悪化する。シロアリは木材だけを食べると思われがちだが、実際には湿気を好み、周囲の土壌環境を変えてしまう。合板の下は常に湿り、通気性が失われ、鉢底の排水が極端に悪くなる。
ブルーベリーの根はスポンジ構造でできており、空気を含んだふわふわの細根が生命線である。しかし、湿気がこもった環境では毛細管現象が乱れ、根の水分移動が不安定になる。鉢底が湿りすぎると細根は呼吸できず、徐々に調子を崩していく。
さらに、合板がシロアリに侵食され尽くしたら最悪だ。シロアリが作る土の塊や通路が鉢底の穴を塞ぎ、排水が悪化する。水が抜けない鉢は内部が蒸れ、根鉢は乾燥と湿気が交互に襲う最悪の状態になる。やがて根鉢は水を弾くようになり、内部がカラカラに固まってしまう。いわゆる「根鉢の化石化」である。
ブルーベリー側からすれば、「いや、鉢の下でシロアリが宴会してるんだけど?気づいてよ?」という状況だったに違いない。私はこの日、鉢置きの選択がブルーベリーの生理にどれほど影響するかを、シロアリの気持ち悪さとともに身をもって理解した。
ではどうしたらよかったのか
本来、鉢置きには通気性と耐久性が必要であり、防草シートの代わりに構造用合板を使うという発想自体が間違いだった。木材は湿気を吸い、地面に密着すると必ず劣化する。そこに鉢を置くなど絶対にしてはいけなかった。私は「雑草が生えなければ何でもいい」と思い込んでいたが、その考えがシロアリの楽園を作る結果となった。
防草シートを敷き、その上にブロックやプラスチック製の鉢台を置くのが正解だった。通気性が確保され、湿気がこもらず、根鉢の環境が安定する。私はこの日、鉢置きの重要性を痛感し、二度と木材を地面に敷かないと心に誓った。
結論
鉢置きに木材を使うのは禁忌である。湿気は根鉢のスポンジ構造を破壊し、細根は壊滅し、最終的に根鉢は化石化する。対処法は存在せず、初心者は防草シート+鉢台が正解である。最後にひとつだけ言えることがある。シロアリに鉢置きを提供してはいけない。


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