質問:育てているブルーベリーの樹形をワサっと(ブッシュ状)にしたいんです。だから私は、樹の途中や低い位置から強剪定をして、そこから芽吹かせてワサっとさせようかと思いました。それでワサっとなりますか?
私のブルーベリーの樹形の理想形は、全体的に根元近くからワサっと(これをブッシュ状という)させることです。ですが今育てている樹はあまりワサっとした感じになってません。
そこで、樹の途中や低い位置から強剪定をして、新しく芽吹かせれば枝数が増えてワサっとした感じになるのではないかと思いました。
実際のところ、それで理想的なワサっとした樹形になるのでしょうか。
回答
私はその方法にはあまり賛成しません。
ブッシュ状の樹形を作りたいのであれば、強剪定で無理やり枝数を増やそうとするよりも、まず樹勢そのものを高め、根元から発生するシュートを利用して樹形を作る方が自然で再現性も高いと考えています。
回答の理由
ブルーベリーのブッシュ樹形は、単純に枝数が多い状態のことではありません。
根元から勢いのあるシュートが何本も発生し、それぞれが主枝として成長した結果として形成される樹形です。
そのため、「枝を増やしたい」という発想だけで強剪定を行うと、思ったような結果にならないことがあります。
強剪定をするとブッシュ状になるとは限らない
確かに強剪定を行うと、剪定位置近くの芽が優勢になり、勢いの強い新梢が発生することがあります。
これはブルーベリー栽培では比較的よく知られている反応です。
しかし、それは「理想的なブッシュ樹形が完成する」という意味ではありません。
樹の途中から発生した枝は既存の枝の延長として増えることが多く、根元から力強く立ち上がるシュートとは性質が異なります。
そのため、枝数は増えても、思い描いていたようなワサっとしたブッシュ樹形にならないことがあります。
強剪定は意外とリスクの高い方法でもある
また、私はブッシュ樹形を作ることだけを目的に強剪定を行うことにはあまり賛成していません。
なぜなら、強剪定は樹がそれまで積み上げてきた葉量を一気に失わせる行為だからです。
葉が減れば光合成能力も低下します。
すると、それまで好調に育っていた樹が一気に樹勢を落とし、不調へ転じる可能性があります。
さらに、強剪定後の回復力には個体差があります。
同じ品種であっても勢いよく回復する株もあれば、樹勢が落ち、思ったほど芽吹かない株もあります。
前年までの樹勢や根量、栽培環境によっても結果は変わります。
つまり、強剪定によるブッシュ化には少なからず賭けの要素が含まれているのです。
ブッシュ状を目指すには、まず樹勢を高めることが先
ブッシュ状の樹形を作るために本当に重要なのは、枝を切ることではなく樹勢を高めることです。
まずはしっかり葉を展開させ、十分な光合成を行わせます。
光合成によって作られた養分は枝の成長だけでなく、根の成長にも使われます。
根が発達すると樹全体の体力が高まり、その結果としてシュート発生の土台が整います。
ブッシュ樹形作りの出発点は剪定ではなく、光合成と根の充実なのです。
花芽を取って栄養成長へ集中させる
若木や樹形形成を優先したい株であれば、花芽を取り除くことも有効です。
果実を実らせると、その分だけ樹のエネルギーは果実生産へ使われます。
一方で花芽を除去すれば、そのエネルギーを枝や根の成長へ回すことができます。
樹形作りを優先する時期であれば、収穫よりも栄養成長へ重点を置いた方が結果として理想樹形へ早く近付けます。
根域環境を整えることもかなり重要
勢いのあるシュートを発生させたいのであれば、根域環境も重要になります。
有機物マルチを施すことで、根圏温度の安定化や保水性向上が期待できます。
一方で排水性と通気性も重要です。
その意味では、スリット鉢を利用して排水性と通気性を確保することも有効な方法です。
根域環境が安定すると根量が増え、根量が増えれば地上部の成長も安定します。
ブッシュ樹形は枝だけで作るものではなく、根の状態によって大きく左右されるのです。
本当に欲しいのは枝ではなくシュート
ワサっとしたブッシュ樹形を目指すのであれば、本当に欲しいのは途中から発生する側枝ではありません。
根元から発生するシュートです。
勢いよく発生したシュートを主枝候補として育て、数本確保します。
必要に応じて支柱や誘引によって方向を調整しながら育てれば、徐々に理想的なブッシュ樹形へ近付いていきます。
私なら無理に強剪定を行うよりも、まず樹勢を高めてシュート発生を促し、そのシュートを利用して樹形を作っていきます。
その方が再現性が高く、樹への負担も少ないからです。
系統によって強剪定への反応も違う
私の印象としては、ラビットアイ系は比較的強健な品種が多く、強剪定後も勢いよく回復する個体が少なくありません。
実際に栽培していると、「かなり切り戻したはずなのにまた元気よく伸びてきた」と感じることもあります。
一方で、ハイブッシュ系はそこまで単純ではありません。
特に樹勢が十分でない株では、強剪定がそのまま樹勢低下につながることもあります。
また、思ったほどシュートが出ず、回復に時間がかかることもあります。私は実際、植え付け初年度に強剪定した苗木の樹勢が著しく落ち、その後棒苗状態で数年成長が止まったようになり、その後ようやく回復してきてシュートが出てきた、という現象を経験しています。
そのため、ラビットアイ系で成功した強剪定を、そのままハイブッシュ系へ適用するのは危険だと私は考えています。
特にハイブッシュ系でブッシュ樹形を目指す場合は、強剪定へ頼るよりも、まず樹勢を高めてシュートを発生させる方法を優先した方が安全だと思います。
補足
ブルーベリーの樹形作りでは、つい枝数ばかりに目が行きがちです。
しかし実際には、立派なブッシュ樹形は樹勢の結果として現れることが多いものです。
強剪定によって一時的に枝を増やそうとするよりも、十分な光合成を行わせ、根を充実させ、花芽を調整し、根元から発生するシュートを育てる方が自然で再現性の高い方法だと私は考えています。
ブッシュ樹形は剪定によって作るものではなく、強いシュートが繰り返し発生できる状態を作った結果として完成する樹形です。
ワサっとした樹形が欲しいのであれば、まずは枝ではなく根を育てる。
そして根が育った結果として現れるシュートを活用する。
その方が結果的には理想のブッシュ樹形へ近付ける近道になるはずです。
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